お墓参りはご先祖を敬い、故人を偲ぶ大切な行事の一つです。お墓参りには宗派宗教でいくばくかの違いがあるとはいえ、昔から決められた『作法』というものがあります。
その作法を守ってお墓参りをすること。そしてその正しい作法を自分の子供や孫にも伝え、ご先祖に感謝する心を養うことはとても大切なことです。
お墓参りの頻度は人それぞれでも、正しい作法でお墓参りをしたいものですし、それがご先祖様への正しい供養にもなります。
そのための心構え・お供え物や花など必要な持ち物とマナーなどの『お墓参りの作法』についてお伝えしていきたいと思います。
スポンサーリンクお墓参りはなんのため
人はなぜお墓参りをするのでしょうか?
その意義を理解することで、おのずから作法を守ることが必要なことがわかってきます。お墓参りの時には必ずお墓に向かって手を合わせますよね。
なにかのCMの台詞に『手と手の皺(しわ)を合わせて、幸せ(しあわせ)』というものがありました。
これはご先祖と生きている自分がつながる喜びを分かち合い、ご先祖様の幸せを願うとともに自分たちの幸せを感謝する、ということではないでしょうか。
もちろん、つらいとき・悲しいときにご先祖様や故人に相談したり、すがりたいときもあると思います。でも、そんな不幸を嘆いたり、相談したりするとご先祖様たちも責任を感じてしまいます。
極力、『あなたの子孫はこんなに明るく、仲良くしていますから、安心してください。こんな風に私たちを見守ってくれているご先祖様に感謝しています』という気持ちでお墓参りをしてください。
その気持ちがあれば、お墓を綺麗にして差し上げなければならないとか、ご先祖様たちが喜ぶ作法を守ってお参りしようという気持ちは自然に生まれてきます。
お墓参りに必要なもの
お墓参りに行く際に必要なものを見ていきましょう。墓地によって借りられる物もあります。それらをチェックして持参するもの・借りられるもの把握してお墓参りに出かけるとよいでしょう。
① 生花
お供えする花の種類には特にこれといった決まりはありません。故人が好きだった花や、季節の花をお供えすればよいでしょう。
棘がある花や、香りが強い花は以前ほど問題にされなくなりましたが、ご年配の方などまだまだ気にされる方もおられるので注意が必要かもしれません。
また、実家などのご両親やご兄弟などとお墓参りをする際は、お花の量・種類はバランスを考えてお持ちください。
② お供え物
墓地によってはお供え物不可の場合もありますので注意してくださいね。
③ 半紙または、お皿
お供えを置くために使います。
食べ物のお供えはカラスが狙っています。食い荒らして墓地を汚さないようにするために、お参りした後にお下がりとして持ち帰れるものにしましょう。
④ 掃除道具、ゴミ袋
ほうきやバケツ、タオルは最低限必要です。雑巾ではなくタオルを使うようにしましょう。墓石をご先祖様の体とみなす方も多く、「雑巾で体をふく」ことは無作法と取られることがあります。
⑤ 数珠
普段のお墓参りの時にはなくてもかまいませんが、改まった形で正式にお参りするときには必要です。
⑥ 線香
ばらさずに束単位で持っていきます。
・ローソク
・マッチ、ライター
線香、ローソク、マッチ・ライターの3点だけは絶対に忘れないようにしましょう。
⑦ 正しいお墓参りの手順
お墓に着いたらどのような手順でお墓参りをすればよいのか。とても大切なことです。墓石のお掃除から始めて、お墓を清めてからお参りします。まずはお参り前の掃除と準備です。
- ほうきで掃きゴミを拾い集める
- 雑草があれば抜く
- 花立て、香炉などをきれいにする
- 墓石をタオルややわらかいスポンジ拭く(水拭き・水洗いが基本)
- 細かい部分は歯ブラシや割りばしを削ったもの等で磨く
正しい墓参りの作法
① お花とお供え物を供える
お墓の掃除が終わったら、花立てに水を入れ左右一対になるようにお花を飾ります。お供え物は折りたたんだ敷き紙・半紙の上に置きます。
② ローソクと線香
ローソクに火を灯します。その火から束のままの線香に火をつけます。線香をお参りする人たちに分けます。(宗旨・宗派で異なりますが1~3本くらいです) または、代表の方が束のままお供えしても良いでしょう。
火を消すときは口で息を吹いて消してはいけません。手であおいで消します。口で息を吹きかけて消すことはご先祖様・故人の仏さまに失礼になります。
③ 墓石を清める
柄杓で、墓石にお水をかけます。水は 「清浄なもの」とされ、ご先祖さまの霊を清めるとされています。
濡れたままにしておくと、墓石を痛めやすくなります。最後に軽く水気をふき取っておくとよいでしょう。
ただし、墓石に水をかけるのは無作法だと嫌う人もいますので、一緒にお参りする方があるなら、その辺りに留意する必要があります。
④ 手を合わせる
各自線香を手向けて墓前で目を閉じで静かに手を合わせてお参りします。
家長や故人に縁の深い人からお参りします。合掌の際はしゃがんで墓石よりも体を低くするのがマナーです。
最初にも述べましたが、ご先祖様への感謝の気持ちや、近況報告・これからの決意など明るい話題をご先祖様に伝えるようにして、愚痴などはなるべく伝えないように心がけましょう。
願い事はご先祖様の受け持ちではないのでやめておきましょうね。
⑤ お供え物は持ち帰る
帰る際には、花以外のお供え物は持ち帰るようにします。そのままにしておくと、カラスなどの野鳥が食い荒らしたり、腐敗してお墓を汚してしまいます。
また、お墓参りの際に出たごみは放置せず、持参したゴミ袋に入れて持ち帰ります。
墓地を汚さない・ごみを置いていかないのはご先祖様に対する最低限のマナーです。
ローカルルールを守ろう
宗旨宗派の細やかなしきたりや作法はご自分のお寺に確認してください。
また、霊園墓地にはそれぞれの決まりごとがあり、掲示されています。自分勝手なことすることなく、ルールを守って、誰もが気持ちよくお墓参りができるように心がけてください。
キリスト教のお墓参り
カトリック・プロテスタントを問わずキリスト教には墓前で故人を偲ぶ習慣がほとんどなく、神に祈るというスタイルをとるために仏教のようなしっかりとした作法はないと言われています。
・お墓を綺麗に掃除する
・故人の好きだった花などを手向ける
・故人に敬意を払い、そして神に祈りを捧げます
という程度のようです。神に祈りを捧げるというのが特徴です。